ユメモノガタリ。


「ねぇ、どうして」

あの頃と何も変わっていない彼の姿に、胸が抉られたみたいに痛んで、込み上げる何かに喉が苦しくて仕方ない。


""どうして""

「....私を」

だらしなく震えた声に、彼はそっと手を離した。


『ごめん』

彼の声が、音のないここで嫌にいっそう鮮明に響いた。それでも、彼は一度も私を見ることなんてなくて。彼は静かにまた歩き始めた。


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