だから君に
足は届きそうになかったけど、しっかりと見えた。
すごく綺麗な光景だった。
俺はしばらく海の上に体を浮かせたまま、空を見つめていた。
「こらー!!」
遠くで誰かの怒る声が聞こえた。
俺は少しだけ気になって、声のする方を向いた。
遠くの浜辺で怒っている女性が見えた。
少し遠すぎて、顔はよく見えない。
黒く長い髪をしていたから、女性だとわかった。
俺は腕を動かして、その場からその人の方をずっと見ていた。