だから君に
俺は潜ったまま、浜辺に泳いで行く。
浜辺に近づくにつれて、少しづつ海は浅くなっていく。
足が付きそうなとこまで泳いで、そこで俺は立ち上がった。
「ふ~。」
俺は息づきをせずに泳いでいたから大きく息を吸った。
胸から下あたりを包む海の水はやっぱり凄くきれいだった。
足元を見ていると、垂れ下った前髪から滴が垂れてきた。
俺は前髪を掻き上げながら、前を向いた。
怒っている女性の顔が見えた。
そして、すぐにその表情は真っ赤になっていった。