だから君に
あぁ、こんなこと考えてるうちに俺の足はだいぶ動いてたんだな。
黒かった道に少しづつ色が付いてきて、さっきまで見えなかった自分の足が見えてきた。
ずっと下げていた目線を前に向ければ、光が見える。
ほら、やっぱりだ。
明るいけど、明るいだなんて思えない。
だって俺の心は暗いままだから。
悲しくて、切ない光が俺を照らし始めた。
俺はその光を手ですくおうとしてみた。
すくいとることもできないもろい光が俺の手の平で漂っていた。
「えっと……」
君の声が聞こえた。