苦いキス*短編*
「毎日のことでも、臭いものは臭いんだって」
ごめんね、あながち反省していなくもない声で謝りはしてるけどきっと、明日も同じ臭いを纏ってくるのだろう。
諦め半分呆れ半分のため息をつき、リビングに向かう。
当たり前のように後ろをヒョコヒョコ付いて来る龍平の足取りは、ふらふらと頼りなげ。
今夜は随分呑んできたらしい。
お気に入りのクッションを抱え、テレビ前のソファーに陣取ると、その膝にいつものようにコテンと頭を預けた。
「寝ないでよ、意外と膝枕って重いんだから」
「分かりました分かりました。そうそう、腕枕も一時間が限界だって知ってた?」
適当な番組でリモコンを置いて首を横に振る。
今日のテレビは外れ。
面白くも何ともないテレビをつけていても電気代の無駄だ
テレビの電源を切ってふと下に目を落とす。
と、龍平は規則正しい寝息をたて寝ていた。
全く、こいつは。
「ねえ、龍。起きて」