諸々の法は影と像の如し
「う~ん……」

 半刻ほどして、章親が目を覚ました。
 何か身体が痛い。

「ああ……。何か怖い夢見た……」

 のろのろと上体を起こして、おや、と思う。
 自分の部屋ではないようだ。

 あれれ、と首を回した章親は、己のすぐ横にいる人物に度肝を抜かれた。

「ようやっと起きたか」

 不思議な色の髪を床まで垂らした綺麗な女子が、どこか冷たい目で己を見つめている。
 その目は金色だ。

「ああああ、あなたは……」

 尻で後ずさりしながら思い切り狼狽する章親に、女子はますます冷たい目になる。

「自分で呼び出しておいて、何じゃその態度は」

「えっ……。じゃ、じゃあ、あなたが僕の御魂……?」

 言った瞬間、しぱん、と裏拳が章親を打った。

「我はお前のモノではない」

「あ、は、はぁ」

 どうやらとんでもない御魂を呼び出してしまったようだ。
 見た目はこの上なく良いが、このようなモノ、御せる自信はない。
 単なる生身の女性であっても無理だ、と思い、章親は項垂れた。

 そこへ、守道がやってくる。

「目覚めたか。やったじゃないか、召喚の儀も無事終えられたぞ」

「……無事じゃないよ……」

 項垂れたまま、暗い声で言う。
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