諸々の法は影と像の如し
「うん。怖い気ではあったけど。でもやっぱり、そんな強い鬼は。こっちにゃ来れませんて」

「だよね。うん、安心した。それに、毛玉も自由になれたし、良かったね」

「うん。章親様にもまた会えたし」

 にこにこと言う。
 毛玉は大した能力はなさそうだが、可愛らしい。

---御魂様も、こんなんだったらすぐに仲良くなれたのにな。いやでも、毛玉は昔の遊び友達っていう下地があるけど。でもこんな無邪気さはないように思うし---

 ちらりと章親は、仏頂面の御魂を見た。

---御魂様も綺麗なんだから、毛玉みたいににこにこしてくれればいいのに。いやでも、この綺麗さでにこにこされたら、ちょっと困るかな。どきどきしちゃう---

 黙っていれば目も眩むほどの美女なのだ。
 見てくれがお世辞にも可愛いわけではない毛玉でも、にこにこしていると可愛いと思うのに、ただでさえ見目良い御魂に微笑みかけられたらどうなることやら。
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