諸々の法は影と像の如し
「何がおろうと、我がおれば心配ないわい」

 ふふふん、と鼻を鳴らす。
 この魔﨡の好戦的な性格は何とかならんものか、と思いながらも、章親は、う~ん、と考えた。

「まぁね。魔﨡がいれば安心だけど。でも魔﨡にはさ、巫女さんになって、宮様にべったり付いてて欲しいんだよ」

 吉平といろいろ話し合った結果、結局そうなったのだ。
 女子であれば宮様に張り付いておける。

 さらに魔﨡のように強ければ、これほど打ってつけの護衛はいないのだ。
 幸い仲直りもしたことだし、と思い、軽く要望を言ってみた章親だったが。

「……我は章親の御魂ぞ。何で他の奴に付かねばならんのだ」

 むっつりと言う。

「いやだから、魔﨡が付いててくれれば、他の護衛が全部内裏に行っても大丈夫なぐらい安心でしょ?」

 どんだけ強いんだ。
 実際魔﨡の大立ち回りを見たことはないのだが、人型でも十分強い。

 本来の姿になれば、それこそ誰も太刀打ちできないだろう。
 何せ龍だ。
 誰が敵うというのか。

「それはそうじゃが。ということは、我を置いて、章親は内裏に行くというのか?」

 魔﨡も否定しない。
 強さには自信があるのだろうが、ただそれを宮様に発揮するのは不満なようだ。
 ずいっと章親に詰め寄る。
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