諸々の法は影と像の如し
「まぁまぁ。事故でも何でも、召喚してしまったものは仕方ない。章親も、良かったじゃないか。こんな美人な御魂と一緒になれて」

 流れる険悪な空気を和ますように、守道が口を挟む。

「ここまで美人な女子、そういないぞ。加えて竜王だなんて、凄いじゃないか」

 持ち上げる守道に、御魂の機嫌は少し直ったようだ。
 ぷいっとそっぽを向いていた顔を、ようやく戻した。

「とにかく、召喚してしまったのだから、仲良くやれよ」

 ぽん、と章親の背を叩き、守道はそそくさと帰って行った。

 二人になると、微妙な空気が流れる。
 そういえば、この人いきなり落ちてきたな、召喚って、もっと優雅なものじゃなかったのかな、などとぶつぶつ思いながら、章親はのろのろと立ち上がった。

 ようやく思い出した。
 この御魂が上から落ちてきたから、自分は昏倒したのだ。

 そのまま気を失っていたのだろう。
 召喚の儀を行っていた部屋で寝ていたようだ。
 ともかく自分の部屋へ戻ろう、と思い、簀子に出る。

「……どこへ行く」

 案の定呼び止められる。
 一旦足を止め、章親は目だけで振り向いた。

「自分の部屋に帰るの」

「我を置いていくのか」

「……ついて来れば」

 章親が言った途端、しゃらん! という音がし、がくりと腰が折れた。
 御魂が錫杖を振って、章親の膝を後ろから打ったのだ。
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