諸々の法は影と像の如し
「小童が! お前は口の利き方がなっとらん!」
「~~~っ」
柱に寄りかかって蹲りながら、章親は涙目で、吠える御魂を見上げた。
錫杖を持ち、片手を腰に当てて文字通り上から見下ろす御魂と章親の間に、また険悪な空気が流れ始めたとき。
不意に、ばたばたと激しい足音が響いた。
「あっ! 章親様! ただいま表に、急な来客が……。緊急の祓いの依頼のようです」
簀子を走って来た女房が、慌てた様子で章親に言う。
「え、父上は?」
「お殿様もいらっしゃってます。でも憑き物が強くて。わ、私どもでは近づけませぬ」
少し気を付けて見てみると、女房にも多少の穢れがついている。
そう長々客の相手をしたわけでもないだろうに穢れがつくとは、結構強力だ。
章親は、素早く指で印を結ぶと、小さく呪を唱えた。
あ、というように、後ろで御魂が反応する。
それには気付かず、印を結んだ指で軽く女房に触れると、ついていた穢れが、さっと落ちた。
「よし。祓うだけで対応できるとも思えないけど。でも放っておくわけにもいかないし」
自信なさそうに言い、簀子を表のほうに急ぐ章親の後ろを、御魂もついて行った。
「~~~っ」
柱に寄りかかって蹲りながら、章親は涙目で、吠える御魂を見上げた。
錫杖を持ち、片手を腰に当てて文字通り上から見下ろす御魂と章親の間に、また険悪な空気が流れ始めたとき。
不意に、ばたばたと激しい足音が響いた。
「あっ! 章親様! ただいま表に、急な来客が……。緊急の祓いの依頼のようです」
簀子を走って来た女房が、慌てた様子で章親に言う。
「え、父上は?」
「お殿様もいらっしゃってます。でも憑き物が強くて。わ、私どもでは近づけませぬ」
少し気を付けて見てみると、女房にも多少の穢れがついている。
そう長々客の相手をしたわけでもないだろうに穢れがつくとは、結構強力だ。
章親は、素早く指で印を結ぶと、小さく呪を唱えた。
あ、というように、後ろで御魂が反応する。
それには気付かず、印を結んだ指で軽く女房に触れると、ついていた穢れが、さっと落ちた。
「よし。祓うだけで対応できるとも思えないけど。でも放っておくわけにもいかないし」
自信なさそうに言い、簀子を表のほうに急ぐ章親の後ろを、御魂もついて行った。