諸々の法は影と像の如し
 言ってしまえば惟道は、この計画が失敗しようとどうでもいい。
 成功したとしても、害せるのは宮様であって、それだけで朝廷を揺るがせるとも思えない。

 そもそも道仙は何がしたいのか。
 父を追放した朝廷を潰したいらしいが、潰したところで何がどうなるというのか。

 惟道には、道仙は目先のことに囚われ過ぎに思える。
 追放された父上も兄も、別に己の境遇を嘆いていたわけではなかった。

 土地で立派に術師として働いていたのだし、都でない、というだけで、さして境遇に変わりはなかったのだ。
 むしろ都にいた頃よりも、皆の尊敬を集め、皆の役に立っていたように思う。

---子供のようだ---

 常々惟道が思って来たことである。
 偉大な父や兄のような力もなく、元々性格が僻みっぽくなったのかもしれない。

 己の力がそれほどでもないと認められず、無茶をする。
 怒りに任せて何かをしでかしても、その後のことまで考えていないのだ。

 惟道よりも随分大人なはずなのに、駄々っ子にしか思えない。
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