諸々の法は影と像の如し
守道には検非違使別当に指示を与える権限はないので、本気で彼らを動かそうと思うのであれば、やはり宮様自身に指示して貰わねばならない。
守道の意を汲み取り、宮様は扇を広げたまま、こほんと一つ咳払いをした。
「別当殿の言うことも、もっともです。ですが、先も言いましたように、わたくしをしっかり守るには、この者らがおれば十分です。むしろあなたがたに被害が広がることのほうが、わたくしには耐えられませぬ。どうか、わたくしのためにも、皆早くお逃げなさい」
「う……。み、宮様。我らは宮様のおためであれば……」
「いけませぬ。わたくしは斎宮でもあるのですよ。わたくしのために血が流れては、わたくしの斎宮としての立場がありませぬ」
ぴしゃりと言われ、別当はやっと、小さく「わかりました」と呟いた。
「幸い陰陽師も詰めております故、内裏まで皆様を陰陽師らがお守りしながら参れます。早いほうがいいでしょう。念のため、章親」
吉平が章親を呼び、懐からありったけの人型を出した。
「これを浄化してくれ。身に帯びておれば、途中で襲われることもあるまい」
「わかりました」
守道の意を汲み取り、宮様は扇を広げたまま、こほんと一つ咳払いをした。
「別当殿の言うことも、もっともです。ですが、先も言いましたように、わたくしをしっかり守るには、この者らがおれば十分です。むしろあなたがたに被害が広がることのほうが、わたくしには耐えられませぬ。どうか、わたくしのためにも、皆早くお逃げなさい」
「う……。み、宮様。我らは宮様のおためであれば……」
「いけませぬ。わたくしは斎宮でもあるのですよ。わたくしのために血が流れては、わたくしの斎宮としての立場がありませぬ」
ぴしゃりと言われ、別当はやっと、小さく「わかりました」と呟いた。
「幸い陰陽師も詰めております故、内裏まで皆様を陰陽師らがお守りしながら参れます。早いほうがいいでしょう。念のため、章親」
吉平が章親を呼び、懐からありったけの人型を出した。
「これを浄化してくれ。身に帯びておれば、途中で襲われることもあるまい」
「わかりました」