諸々の法は影と像の如し
*
章親が浄化した人型を配る吉平を、惟道は木の上から眺めた。
ほぅ、と少し目を細める。
---あの陰陽師、鬼と穢れの関係を見抜いたか。単なる偶然か?---
惟道の手の中には、まだいくつかの小石がある。
さてどうしたもんか、と思いつつ、去っていく検非違使らを見つめた。
今小石を放ったところで、あの浄化された人型を持っていれば、おそらく惟道の穢れは弾かれるだろう。
それほどあの者の浄化能力は優れている。
---それに、やはり身の内に入れてしまうのが一番だ---
惟道がよく使う手は、振る舞い酒に僅かに血を混ぜるやり方だ。
それであれば、飲んでしまえばまず穢れは取れない。
以前道仙が招いた姫君の女房が口にしたのもそれだ。
あの後道仙は姫君に無残に食い殺された女房の死体をわざと見せ、ああなりたくなければ言うことを聞くしかない、と脅した上で姫君を帰した。
姫君は遠縁とはいえ宮家の姫君だ。
宮中に繋がりもあろう、と駒として使うことにしたのだが、残念ながら世間に忘れられたような宮家の姫は、そうそう宮中に入り込むことなど出来なかったのだ。
---我らが接触できる官人など、それだけで程度が知れるというものだが---
冷めた頭で、惟道は考える。
何が何でも宮中への足掛かりを掴みたい道仙には、宮家というだけでも試す価値があったのだろう。
ほぅ、と少し目を細める。
---あの陰陽師、鬼と穢れの関係を見抜いたか。単なる偶然か?---
惟道の手の中には、まだいくつかの小石がある。
さてどうしたもんか、と思いつつ、去っていく検非違使らを見つめた。
今小石を放ったところで、あの浄化された人型を持っていれば、おそらく惟道の穢れは弾かれるだろう。
それほどあの者の浄化能力は優れている。
---それに、やはり身の内に入れてしまうのが一番だ---
惟道がよく使う手は、振る舞い酒に僅かに血を混ぜるやり方だ。
それであれば、飲んでしまえばまず穢れは取れない。
以前道仙が招いた姫君の女房が口にしたのもそれだ。
あの後道仙は姫君に無残に食い殺された女房の死体をわざと見せ、ああなりたくなければ言うことを聞くしかない、と脅した上で姫君を帰した。
姫君は遠縁とはいえ宮家の姫君だ。
宮中に繋がりもあろう、と駒として使うことにしたのだが、残念ながら世間に忘れられたような宮家の姫は、そうそう宮中に入り込むことなど出来なかったのだ。
---我らが接触できる官人など、それだけで程度が知れるというものだが---
冷めた頭で、惟道は考える。
何が何でも宮中への足掛かりを掴みたい道仙には、宮家というだけでも試す価値があったのだろう。