諸々の法は影と像の如し
第十五章
「これは……」

 車座になった五人の中央には、先程投げ込まれた小石と簀子にあった小石が置かれている。
 どちらも章親が呪を施した懐紙の上にあるので、とりあえずは何事も起こらないだろう。

「これ、以前毛玉が見つけた石と同じじゃないかな」

 章親がよくよく調べた上で口を開く。
 毛玉が糺の森で見つけた、穢れの付いた石。

 これにも同様の気を感じた。
 小石をよく調べたところ、やはり血のようなものが付着していたのだ。

「毛玉?」

 魔﨡と共に上座に座っていた宮様が、きょとんと章親を見る。

「あ、えーと。毛玉ってのは何というか。物の怪なんですけど、僕の友達っていうか」

 章親にとっては式でも友達感覚なのだ。
 まして毛玉は式と違い、生きている。

 そんなものを『使っている』とは何となく言いにくい。
 昔から物の怪と仲良くしてきた故の感覚なのだろう。

「物の怪の友達?」

 驚いたように、宮様が言う。
 ただ驚いてはいるが、その顔はとても楽しそうだ。
 興味津々な目を章親に向けている。

「凄い。さすが安倍の跡取り。友達も普通ではないわけね」

「い、いえ。そんな大層なことでは」

 ずいっと身を乗り出す宮様に、章親はたじたじとなる。
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