諸々の法は影と像の如し
「いえあの。鬼と言っても、皆が皆角があるわけではないですよ」
そもそも人外のもの全てを『鬼』と称する向きもあるのだ。
厳密に、どこからどこまでを『鬼』とするのかは微妙である。
「毛玉は確かに小鬼の類ですけど、害はないですよ。そうだ、毛玉も実際あの鬼に襲われてるしね。あの鬼、穢れが付いたものは何でも襲うのか……」
そろそろ章親の元に戻りたい、と目で訴える毛玉を見つつ、章親は思い出した。
物の怪は物の怪同士で襲い合うことはほとんどない。
人の知らないところではあるのかもしれないが、おそらく高等な物の怪であればあるほど、同族同士での諍いはしないと思われる。
力が強い分、被害も大きいからだ。
「でも、あの鬼は戦うというより単に食事をしてるようじゃないか? 穢れを求めてそれに食らいつくが、そのために何か特別な術を使うわけでもない。力を放出しているわけでもないだろ? 俺たちが食事するようなものだと思えば、ああいう物の怪がいたとしてもおかしくない。死体を食らう鬼もいるんだし」
守道が言う。
「そっか。食べるだけだったら、確かに力は必要ないね。でもあんな強力な人食い鬼、召喚した後はどこに潜んでるんだろう。今もどこかにいるってことだし。穢れの小石がここにあるってことは、この森に住み着いてるとか?」
そもそも人外のもの全てを『鬼』と称する向きもあるのだ。
厳密に、どこからどこまでを『鬼』とするのかは微妙である。
「毛玉は確かに小鬼の類ですけど、害はないですよ。そうだ、毛玉も実際あの鬼に襲われてるしね。あの鬼、穢れが付いたものは何でも襲うのか……」
そろそろ章親の元に戻りたい、と目で訴える毛玉を見つつ、章親は思い出した。
物の怪は物の怪同士で襲い合うことはほとんどない。
人の知らないところではあるのかもしれないが、おそらく高等な物の怪であればあるほど、同族同士での諍いはしないと思われる。
力が強い分、被害も大きいからだ。
「でも、あの鬼は戦うというより単に食事をしてるようじゃないか? 穢れを求めてそれに食らいつくが、そのために何か特別な術を使うわけでもない。力を放出しているわけでもないだろ? 俺たちが食事するようなものだと思えば、ああいう物の怪がいたとしてもおかしくない。死体を食らう鬼もいるんだし」
守道が言う。
「そっか。食べるだけだったら、確かに力は必要ないね。でもあんな強力な人食い鬼、召喚した後はどこに潜んでるんだろう。今もどこかにいるってことだし。穢れの小石がここにあるってことは、この森に住み着いてるとか?」