諸々の法は影と像の如し
章親と魔﨡は、一旦顔を合わせ、う~ん、と首を傾げる。
ここで鬼を実際に近くで見たのは、この二人だけなのだ。
守道と吉平も先程見たが、宮様の傍を離れるわけにはいかなかったので、遠目だった。
はっきりとは見えなかっただろう。
「いや、今回はやっぱり、宮様が狙いだったと思う。でも思いのほか警備が厳しくて、的を変更したんじゃないかな。あの検非違使は、運悪く穢れの小石を打ち込まれたんだと思う」
「打ち込まれた?」
守道が、章親の物言いに怪訝な顔をする。
章親は、床に置いた懐紙の上の小石を指した。
「これも、この部屋に向けて、明らかに放たれたものでしょ。誰かが宮様を狙って、この部屋に穢れを付けようとしたんだよ」
「あの小僧だな」
魔﨡が、錫杖を構えて片膝を立てる。
その喜々とした表情に引きつつも、章親は魔﨡を押し止めた。
「あのね。あの子は確かに怪しいけど、まだよくわかんないんだから。いきなりぶちのめしたりしないでよ」
「何を言うか。穢れを付けたのは間違いなくあ奴ぞ。我に穢れを付けたのは、あ奴だぞ」
あ、そっか、と章親の魔﨡を押さえる手が緩む。
魔﨡は直接あの少年からこの小石を受け取ったのだ。
ここで鬼を実際に近くで見たのは、この二人だけなのだ。
守道と吉平も先程見たが、宮様の傍を離れるわけにはいかなかったので、遠目だった。
はっきりとは見えなかっただろう。
「いや、今回はやっぱり、宮様が狙いだったと思う。でも思いのほか警備が厳しくて、的を変更したんじゃないかな。あの検非違使は、運悪く穢れの小石を打ち込まれたんだと思う」
「打ち込まれた?」
守道が、章親の物言いに怪訝な顔をする。
章親は、床に置いた懐紙の上の小石を指した。
「これも、この部屋に向けて、明らかに放たれたものでしょ。誰かが宮様を狙って、この部屋に穢れを付けようとしたんだよ」
「あの小僧だな」
魔﨡が、錫杖を構えて片膝を立てる。
その喜々とした表情に引きつつも、章親は魔﨡を押し止めた。
「あのね。あの子は確かに怪しいけど、まだよくわかんないんだから。いきなりぶちのめしたりしないでよ」
「何を言うか。穢れを付けたのは間違いなくあ奴ぞ。我に穢れを付けたのは、あ奴だぞ」
あ、そっか、と章親の魔﨡を押さえる手が緩む。
魔﨡は直接あの少年からこの小石を受け取ったのだ。