諸々の法は影と像の如し
「う~ん……わかんないなぁ~」

 何せ手掛かりというものがないのだ。
 穢れに反応する人食い鬼というだけでは、特徴でも何でもない。
 全ての物の怪に共通することだと言っても過言でないからだ。

「術師に絞ったほうがいいかな。そういえば、あの子が鬼を操ってたとして、でも陰陽師ではないみたいだった。……うん、あんな子見たことないし」

 顔を覚えていなくても、あの特異な気は忘れない自信がある。
 陰陽寮にいれば気付くはずだ。

「そうだ。術師であれば、あれほどのモノを扱える人は限られてくる」

「偉いぞ、章親」

 魔﨡が、わくわくと身を乗り出す。
 褒められてちょっと嬉しくなった章親だったが、魔﨡の表情を見ると微妙になる。
 やたらと楽しそうだ。

 あの子を突き止めれば、多分鬼に行きつく。
 そうなると鬼と一戦交えることもあろう。
 それを心待ちにしているようだ。

「あのね魔﨡。鬼はともかく、あの子は多分、人だから。滅多打ちにしないでよ。死んじゃうよ」

「む、そうか。でも章親に危険ありと見ると保証は出来ん。殺さぬように注意はするが、要は生きておればいいのであろ?」

 にやりと笑う。
 章親は青くなって若干身を引いた。
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