諸々の法は影と像の如し
*
「何? 安倍の子供が来たのか」
惟道が章親と守道の来訪を告げると、道仙は片膝を立てた。
「ガキだけで来るとは、馬鹿な奴。さて、どうしてくれよう」
立ち上がりそうな勢いだったのに、立てた膝を戻し、道仙は脇息に寄りかかった。
手に持った扇を口元に当てて、にやりと笑う。
「力のほどは、どうじゃ」
聞いてみるが、惟道は僅かに首を傾げただけだった。
「ま、お前にはそんなこと、わからぬな」
ふふふ、と広げた扇の向こうから、冷たい目を向ける。
そういった動作一つ一つが、上流貴族ぶっているようで滑稽だ。
そもそも元から貴族だったことなどない。
播磨の地でも、道満などは身の丈に合った暮らしをしていた。
「どうするか……。とりあえず、面を拝んで来るか」
ゆっくりと立ち上がり、道仙は己の姿を見た。
「惟道。着替えを持て」
狩衣から着替えるらしい。
小さく頭を下げ、惟道は部屋を出て行った。
惟道が章親と守道の来訪を告げると、道仙は片膝を立てた。
「ガキだけで来るとは、馬鹿な奴。さて、どうしてくれよう」
立ち上がりそうな勢いだったのに、立てた膝を戻し、道仙は脇息に寄りかかった。
手に持った扇を口元に当てて、にやりと笑う。
「力のほどは、どうじゃ」
聞いてみるが、惟道は僅かに首を傾げただけだった。
「ま、お前にはそんなこと、わからぬな」
ふふふ、と広げた扇の向こうから、冷たい目を向ける。
そういった動作一つ一つが、上流貴族ぶっているようで滑稽だ。
そもそも元から貴族だったことなどない。
播磨の地でも、道満などは身の丈に合った暮らしをしていた。
「どうするか……。とりあえず、面を拝んで来るか」
ゆっくりと立ち上がり、道仙は己の姿を見た。
「惟道。着替えを持て」
狩衣から着替えるらしい。
小さく頭を下げ、惟道は部屋を出て行った。