諸々の法は影と像の如し
「そ、それじゃ魔﨡。宮様のお傍にいてね」

「うむ。では宮は、章親の傍におれ」

「……何で僕の傍」

「だったら我も章親の傍におればいい話じゃろ」

 軽く言い、いそいそと宮を章親の傍にやり、自分も近くに移動する。

「これ章親」

 吉平が、その場に落ち着く宮様に困った顔を投げるが、章親も困った顔はしつつも父を制した。

「だって、宮様の言う通りじゃないですか。ここが一番穢れが強いでしょうけど、何かあったときは分散してるよりも集まってたほうがいい。宮様だって、やっぱり心細いでしょうし」

 章親の横で、宮様がちょっと意外そうな顔をした。
 一番大人しそうな章親が、一番に賛同してくれたことに驚いたようだ。

「まぁ……宮様がお嫌でなければ、我々としても見える範囲のほうがお守りしやすいし」

 しぶしぶながら、吉平も折れた。
 とりあえず宮様を中心に、話を再開する。

「額に印か……。鬼の印が刻まれている、となると、その若者が召喚師……?」

「あの子にそんな力、あるかなぁ……」

 何度も思ったことを繰り返す。
 どうしても、鬼を操るほどの力があるとは思えない。
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