諸々の法は影と像の如し
「じゃあもう、今日は休もう。二人とも、ご苦労だったな。守道も泊まって行くといい」

「はい、そうします」

 吉平が簀子を歩いて行ってから、章親は皆を促した。

「えと。じゃあとりあえず、宮様はお部屋に。魔﨡もそっちについて行ってね。僕らは、そうだな……。お隣の部屋にしようか」

 鬼の手はなくなったが、まだ穢れの付いた衣はある。
 それでなくても宮様がおられるのだから、そこを中心にお守りすべきだ。
 が。

「何で章親も一緒でないのじゃ」

 魔﨡が速攻で不満を言う。

「いやいや魔﨡。物の怪どうこう以前にね、宮様のお傍になんて、普通はいられないものなの」

「何故じゃっ。今まで同じ部屋にいて、お傍にいられないなど意味がわからぬ」

「身分が違うの。さっきまでは鬼の手もあったし宮様も不安だろうからお傍に控えるのを許して貰ったけど、もう鬼の手はないし。それにもう今日は休むんだしね」

「夜更けのほうが、魔は動くぞ?」

「だから僕も、自分のお部屋じゃなくて、お傍に控えるって言うの」

「同じでいいではないか」
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