諸々の法は影と像の如し
「……お友達になりたい、と思うから、遠慮なしに付き合いたいのに」

 しょぼん、と言う宮様に、章親が慌てる。

「あのっ! 宮様がそう仰ってくださるのは、この上なく光栄なことと存じます!」

「……その言い方が、もう拒絶されてるように聞こえるわ」

「いえっ! あの……やはりどうしても、宮様の身分が気になって……」

「神様である御魂には懐いてるくせに」

「そ、それは……。身分とかを超越しちゃって、返って何とも思わないというか」

 まごまごと言う。
 そんな章親を、魔﨡がよしよし、と撫でた。

「しょうがないのぅ。そうよな、章親は我の主なれど、我を立ててくれるしのぅ」

 傍から見ても章親が己に懐いている、というのが嬉しかったのか、魔﨡は途端に機嫌が良くなり、うんうんと頷いた。

「ま、他ならぬ章親の頼みじゃ。宮は我がしっかり守る故、ゆっくり休むがいい」

 えへん、と胸を張る。
 何だかんだで、魔﨡は扱いやすいのだ。

「う、うん。じゃあ魔﨡、頼んだよ。宮様も、ゆっくり休んでください」

 ふくれっ面の宮様に頭を下げ、章親はそそくさと背を向けた。
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