諸々の法は影と像の如し
第二章
 次の日陰陽寮に顔を出すと、途端に同僚らに囲まれた。

「御魂の召喚に成功したんだって?」

「何でも龍神らしいじゃないか。凄いな!」

「さすが安倍家の嫡男だよなぁ」

 わらわらわら、と章親を取り囲み、口々に褒める。
 昨日のことが何故こうも早く皆に伝わっているのか、と思いつつ視線を回すと、守道と目が合った。

 へら、と笑う。
 それだけで、犯人がわかった。

「もぅ守道。何言いふらしてるんだよ」

 人の輪からやっとのことで抜け出、守道の袖を掴んで言うと、彼はまた、へら、と笑って肩を竦めた。

「いやいや、俺だってそんなぺらぺら喋ったわけじゃないぜ。ちょろっと漏らしただけだ。それがまぁ……あっという間にな」

「御せるかどうかもわからないのに、あんまり言わないでよ」

「何言ってるんだ。そんな、根っから相性の悪い御魂が降りるわけないだろ。折角章親が章親に相応しい御魂を召喚出来たんだ。嬉しく思うのはしょうがないだろ」

 ちょっと呆れたように言う。
 守道は素直に幼馴染である章親のことを称賛してくれている。
 だが章親は、少し下を向いた。
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