諸々の法は影と像の如し
「ねぇ。守道の御魂様は?」

「あ? ああ、俺の御魂は呼んだときしか出て来ないよ。つか、そういうもんだと思ってたがな」

 陰陽寮の端まで移動し、三人は渡殿に腰を下ろした。
 御魂は、ぽん、と欄干に飛び乗る。

「守道はさぁ、御魂様と仲良くやってるの?」

 足を投げ出し、章親は守道に聞いた。

「小さい女童(めのわらわ)だったけど、強かったね。お狐様?」

「ああ。召喚したときはびっくりしたがなぁ。まさか子供が降りるとはね。でもま、御魂に年齢はないのだし。それに、結構上手くやってるぜ」

「そっか」

 いまだかつて、召喚した御魂と全然上手くいかないという話は聞いたことがない。
 以前に聞いた召喚の儀を失敗した、という者も、その後何とか仲良くなったようだ。
 そもそもそんな相性の悪いものが呼ばれるわけはないのだ。

「何で僕に龍神様が降りたのかなぁ……。まだ守道の御魂様のほうが、僕に合ってそうなのに」

 項垂れて言う章親を、御魂がちらりと見た。
 守道が、立ち上がりながら、ぽん、と章親の肩を叩く。

「そう悲観するな。御魂にも失礼だぜ。お前は自分の力をわかってないみたいだがな、やっぱりその者に合った御魂が降りるんだと思うぜ」
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