諸々の法は影と像の如し
「あのさ。惟道殿さえ良ければ、ここで暮らさない? 元々道満殿と暮らしてたんだったら、同じような術師の家のほうがいいかもだし」
じ、と惟道は章親を見る。
澄んだ綺麗な、漆黒の瞳。
すぅっと呑み込まれそうになる。
「道満殿が、惟道殿を見出したのが、わかる気がするなぁ」
感心したように言う章親に、惟道は少し首を傾げた。
「俺には、そなたらのような力はない」
「う~ん、力っていうか、持って生まれたものだよ。生まれながらの依巫っていうか。何でも、すぅっと取り込んでしまうっていう」
そっか、と章親は手を打った。
だからこそ、道満は惟道を手元に置いたのだ。
己の意識なく何でも取り込んでしまっていたら身が持たない。
小さいうちは特に危険だ。
ただでさえ抵抗力の弱い時期に、子供特有の純粋さもある。
そんなときに、何でも身の内に取り込んでいたら、あっという間に死んでしまうだろう。
「道満殿は、惟道殿を守ると同時に、自分でもある程度身を守れるように傍で育てながら、術師としての下地を教えていたんだね」
章親の言葉に、惟道は視線を庭に転じた。
惟道自身は、特に道満に何を教わったわけでもない。
が、きちんと教えるわけではなかっただけで、何かのついでのような感じで、軽く教えられていたものが、そういうものだったのかもしれない。
道仙の兄が教えてくれた遊びの類も、今考えれば呪術的なものだった。
「もちろん惟道殿が、播磨に帰りたいって思うんだったら、そうしてもいいと思うけど」
「播磨……」
「道仙殿のお兄さん? が、いるんじゃないの?」
ああ、と惟道は呟いた。
しばし、ぼーっと庭を見る。
じ、と惟道は章親を見る。
澄んだ綺麗な、漆黒の瞳。
すぅっと呑み込まれそうになる。
「道満殿が、惟道殿を見出したのが、わかる気がするなぁ」
感心したように言う章親に、惟道は少し首を傾げた。
「俺には、そなたらのような力はない」
「う~ん、力っていうか、持って生まれたものだよ。生まれながらの依巫っていうか。何でも、すぅっと取り込んでしまうっていう」
そっか、と章親は手を打った。
だからこそ、道満は惟道を手元に置いたのだ。
己の意識なく何でも取り込んでしまっていたら身が持たない。
小さいうちは特に危険だ。
ただでさえ抵抗力の弱い時期に、子供特有の純粋さもある。
そんなときに、何でも身の内に取り込んでいたら、あっという間に死んでしまうだろう。
「道満殿は、惟道殿を守ると同時に、自分でもある程度身を守れるように傍で育てながら、術師としての下地を教えていたんだね」
章親の言葉に、惟道は視線を庭に転じた。
惟道自身は、特に道満に何を教わったわけでもない。
が、きちんと教えるわけではなかっただけで、何かのついでのような感じで、軽く教えられていたものが、そういうものだったのかもしれない。
道仙の兄が教えてくれた遊びの類も、今考えれば呪術的なものだった。
「もちろん惟道殿が、播磨に帰りたいって思うんだったら、そうしてもいいと思うけど」
「播磨……」
「道仙殿のお兄さん? が、いるんじゃないの?」
ああ、と惟道は呟いた。
しばし、ぼーっと庭を見る。