諸々の法は影と像の如し
「あのさ。契約するときは、新たな名前が必要だよね? 御魂様って、元々名前ってないのかな」

「あるかもな。でもそれって契約に使えるかなぁ。大体御魂が、お前に名をつけてくれって言ったんだったら、新たな名をつけて欲しいってことだろ。そっちのほうが、契約としては正式な手続きだ」

 あぅ、と章親が頭を抱える。
 元の名があるなら、それで呼んだほうがいいのでは、とも思うのだが、そう言えば確かに御魂は名を付けてくれと言った。
 新たな名を、章親につけて欲しかったのか。

「契約したかどうかなんて、見た目ではわかんないし、何が変わるわけでもないのにね」

「ああ。でも契約しないと、それこそ常に御魂がついてないと、呼びたいときに呼べないぞ」

 契約して主を決めれば、普段は離れていても、主が呼べば御魂は瞬時に駆けつける。
 式が一瞬で動けるのもそのためだ。
 名の契約というのは、それほど強力なのだ。

---そっか。御魂様は、僕にちゃんと言ってくれたものね。何で僕を認めてくれるのかは、やっぱりわかんないけど、僕に拘りがあるみたいだし。僕に呼ばれたいんだ---

「……わかった。御魂様のためにも、きちんと契約するよ」

 うん、と章親は頷いた。
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