諸々の法は影と像の如し
「そうだ。父上、この前御魂様のことを調べるために、家の書庫に行ったんですけどね」

「うん? お前、まだ意地を張っているのか」

 吉平も、章親と御魂の間にあったことを、何となく知っている。
 もっとも章親本人ではなく、守道情報なのだが。

「意地と言えば意地ですけど。このままずっと御魂様に甘えてるのもどうかと思うし。そんなの、御魂様にも失礼じゃないですか」

 吉平はちょっと苦笑いしただけで、特に何も言わなかった。

「それで、そのときに何か……奥に箱を見つけまして」

 ふと、章親は首を捻った。
 今まで書庫に入ったことがないわけではない。

 陰陽師というのは、調べ物も多いのだ。
 あそこの書庫には今まで何度も足を運んだ。

 あの箱は特に何かに隠れていたわけではなかった。
 何故今まで気付かなかったのだろう。

「箱?」

「ええ。随分古びた箱のわりに、何かしっかり封がしてあって……」

 章親の話を聞いていた吉平が、ふむ、と呟きながら顎を撫でる。
 ややあってから、そういえば、と口を開いた。

「父上がその昔、何かを封じたものがあるとか……聞いたことがある」

 え、と章親が目を剥く。
 吉平の父というのは、かの安倍 晴明だ。
 そのような大物が封じたものというのは、相当ヤバいものなのではないか?
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