諸々の法は影と像の如し
「あれだ。僕がまだ小さいときに、倉の近くで遊んでるうちに倒れたことがある。そうだ、確か大きい鞠みたいなのとか、あとはいつの間にか現れた友達と遊んでたんだよ」

 まだほんの小さいときは、物の怪とか人間とかの区別もつかなかった。
 それで危ない目に遭う者もいるのだが、章親の場合は集まってくる物の怪が彼を守っていた。

「あれ、てことは、もしかして僕が小さいときにずっと遊んでたのって、全部物の怪なのか?」

 そういえば、昔からの友人というのは守道ぐらいしかいない。
 今まで気にならなかったが、昔あれほどよく遊んでいた者がことごとくいなくなるのもおかしな話だ。

「子供はいろいろなモノを見る力があるからの。力の弱い物の怪は、姿を現すことだけでも一苦労。実は見えていない物の怪たちと、ずっと遊んでおったのじゃろ。それが、大人になって見えなくなっただけじゃ」

「え、それは勿体ないなぁ」

 残念そうに言う章親に、御魂は少し目を細めた。
 こういう穏やかな気が心地いいのだ。

「で、お主は単なる小鬼か。ま、鬼にもいろいろおるからの。使鬼として使うのもいいのではないか? こ奴、自ら章親と契約したしの」

 ちょっとふて腐れたように、御魂が言う。
 己より先に契約されたのが気に食わないらしい。
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