アイドルとわたし
黙ったまま、あたしたちを見つめるお母さん。
それはまさに母親の顔だった。
「真央」
「はい」
「大事にしなさい。
本当に真央が運命の人だと思うのなら」
「お母さん…」
「智哉さん」
「はい!」
「あなたの住む世界がどれだけのものかは分からないけれど
なにがあってもこの子を守ってあげて。
それがどれだけ辛い選択になろうとも。
この子の幸せを考えてあげて」
「もちろんです」
「真央」
「…おかぁさん」
「おめでとう。
幸せになってね」
この瞬間、初めて見せたお母さんの笑顔が
あたしの涙腺を崩壊させた。
「うっ…ふぇぇ…よか…たっ」
「あんた泣き顔ブサイクよ~。
隣にとんでもないイケメンがいるから余計に(笑)」
「ひどい!実の娘に向かって!」
そんな親子のやりとりを智哉くんはただ笑って、でも少し安心したような顔をして見守っていてくれた。