アイドルとわたし
「ももー、振られちゃった(笑)
やっぱ世界が違ったのかな?(笑)
もう飽きた?(笑)
いや、親に紹介したばっかりだっちゅーねん!(笑)
もー、ほんと、こんなラインだけで済ませやがって(笑)
芸能人は違うわー(笑)ドライ(笑)」
1人でへらへら笑って話す。
桃はそれをただ、黙って聞いていた。
「こんなことになるなら最初から…」
“出会わなければよかった”
喉元まで出かかった言葉を慌てて飲み込んだ。
だって、間違いなくあたしは幸せだったから。
「出会えて良かったよ。
すっごく短い時間だったけどあたし世界一幸せだった。
落ち着いていてやっぱり大人だなって思わせるのに、笑った顔は誰よりも幼くて可愛くて、温かくて、TVで見るよりずっと素敵で」
ここまで来たらもう、本当に思っていることも、涙も、止まらなかった。