アイドルとわたし
「あたしのことを初めて中身まで見てくれた。
すべてを包んでくれた。
智哉くんが大切にしている人を紹介してくれた。それがすごく嬉しかったこと、智哉くんには伝わっているかな?」
あたしの中にある感情がどんどんでてくる。
一度外れてしまったネジはもう閉まらない。
「どうして?
どうして芸能人は恋をしたらダメなの?
こんなに好きなのに。それでもダメなの?
分かってる。智哉くんには世界中にファンがいて、それを大切にしなくちゃいけないのは。
でも、芸能人だって、アイドルだって人間じゃん。みんなと同じじゃん…」
みんなと同じように出会って、恋をして、お互いの存在を確かめ合って。
それが許されないのは、相手が芸能人だから。
あたし以上に大切なものがあるから。
「桃、あたしの考えは甘かった」