アイドルとわたし
警備員さんが足を止めたのは
SKYの楽屋の前。
警備員さんがお辞儀をして、その場を離れた。
その後ろ姿に会釈をして、いざ楽屋に入ろうとしても
ドアを開ける手が躊躇する。
でも、あたしはなんのためにここに来た?
ここに連れて来られることは承知でついて来たじゃない。
中原くんに背中を押してもらってまで、
智哉くんにあたしの思いも伝えるためでしょ?
もう迷わない。
だってあたしも
あなたのことが好きだから。
震える手をギュッと握り、ノックをした。
ーーーーーガチャ
ゆっくりと開かれるドア。
現れたのは
「遅い」
「ご、ごめんね瑞季くん」
智哉くんではなく、瑞季くんだった。