アイドルとわたし
声の主
「大丈夫?
女の子がこんな時間に1人でいたら危ないよ?」
ほらって手を差し伸べてくれた。
でも、今のあたしは簡単にその手をとることはできない。
男の人は怖い。
なにをするか分からない。
力も入らないから自力では立つことができない。
でも、手を取ることも…。
「なににそんなに怯えているの?」
ぐいぐい質問してくる通行人A。
「ほんとに、大丈夫ですから…」
でも、通行人Aの声はとても落ち着く。
優しくて耳に残る声。
「ご親切にお声かけいただきありがとうございました。
でもあたし本当に大丈夫ですから。
お気になさらず」