アイドルとわたし
そう言ってぱっと顔をあげると
「…」
黒いニット帽にメガネにマスク。
完全に不審者。
なんて日だ。
今日は本当に厄日だ。
固まるあたし。
でも、メガネから覗くその瞳から目を離すことができない。
「ん?俺の顔なんかおかしい?」
いや、おかしいもなにも見えないし…
って思っていると
「あ、見えないかあ(笑)」
って、優しく笑うの。
この雰囲気。
なんかあたし、知ってる。
この優しい声。
メガネから覗く大きな瞳。
ただならぬオーラ。
あなたもしかして…
「宮川…智哉、さん…」