アイドルとわたし
「落ち着いて聞いて。
これ、本人なの。
相手が相手だから黙っていようと思ったけど」
「真央ほんとに頭おかしくなったんじゃないの?」
予想通りの反応。
でも、ここまで誤解されていたらあたしもたまったもんじゃない。
「あの日、中原くんに襲われて。
怖くて逃げて泣いてたんだよ」
「…中原許せない」
今度はまた中原くんに怒る桃。
忙しい子だ。
「そしたら、誰かが話しかけてくれて。
大丈夫?って。
それが智哉くんだったの」
真実よ、これは真実。
「それはきっと夢よ」
どうしても認めたくない桃。
夢物語を聞いてるかのように楽しそうな優くん。
「本当なんだよ。
あたしも夢なんじゃないかと思って確認したらいたんだもん」
「じゃあさ、今すぐここで電話して」
「分かったよ!!
…って、は?????」
「それが本人だって言うなら今ここで電話して声聞かせて!!」
桃さん。
あなたほんとにとんでもないことをさらっと言うのね。
助けを求めて優くんをちらっと見る。