osean's love~改訂版~
水綿~aomidoro~
「ここは~~~~~~~で、~~~~~~~~~なるから、~~~~~~~~となる。つまりこれは、~~~~~~~~~~~~~~である。……吉川、ではここには何が入る?」
「ふぇ?え、えっと……ウですか?」
もう、いきなり指さないでよ!もう少しで眠れるところだったのに~~~!
私は机に突っ伏していた顔を勢いよくあげて、適当に答えてみた。
「ぷっ」
鰯が吹き出した。
なんだ、何がおかしい。
あ、答えが間違っていたのか。
「もう、じゃあイですか?イですよね?!」
「ぷっははは!そもそも選択しなんかねえし!あとオデコ、寝跡ついてるぞ!……個々の答えはアオミドロだ。吉川、今中学の復習をしているんだが、お前は全然できていないから放課後自習プリントを取りに来い。」
「……はい。」
普通クラスメイトがミスをしたり、寝ていたりしたら、他のみんなは笑ってくれるのだが、私の場合はそうはならない。
回答するときも、こっちを見向きもしない。
だから今だって、鰯が一人で笑ってくれている。
そんな、私にでも優しい鰯を見て、鰯ファンの女子たちは遠慮なくとげのある視線をこちらに向けてくる。もちろん今も。
ポンッ
あれから10分が経ち、私がまた机に突っ伏しかけたころ、折りたたまれたかわいいメモ帳が机の上に降ってきた。
なんだろう、と思って開いてみると、鰯ファンクラブ名誉会長の塩北さんからだった。
『吉川さんと鯖野先生が、昨日一緒に帰っているところ見たんだけど。2人ってどういう関係?答えなさいよ。 塩北 姫愛』
丁寧に返事用のメモまで同封されているが、これでは脅迫文である。
っていうかまず、関係も何もないから。普通に教師と生徒なんですけど。
私は誤解のないようになるべく丁寧に、塩北さんに返信した。
ちなみに、同居のことは伏せるように鰯に言われている。
『一緒に帰っていたのは、たまたま会ったからだよ。私たち、同じマンションに住んでいるから。あと、私たちの間には何もないよ。』
右隣の塩北さんの机に、そっとそれを置いた。
塩北さんは、しっかりマニキュアを塗った爪で紙をつまみあげる。
そんなに露骨にばい菌扱いしなくてもいいじゃん。
そんなこと言えないけど。
私はこのクラスで、いわゆるいじめというやつに遭っている。
嫌われている原因は自分でもわかる。
容姿と頭の悪さと、鰯と仲がいいこと。
特に鰯好きの塩北さんが中心となって行われている。
今、少しだけ謝られたのかな、と期待した私バカみたい。
もうこのクラスにいるのもやだ。
鰯のせいで巻き起こる、女子たちの黄色い悲鳴を聞かないように、私はまた眠りにつくのであった。