osean's love~改訂版~
「ひょいっ」
「あ、私のメガネ!」
熊岸にメガネを取られたことで、私の汚い肌があらわになる。
熊岸は、なぜかそんな私を見て満足そうにニヤッとした。
「はい、もう返すよ。」
5分後、やっとメガネが返ってきた。
「プレゼント決まった。さんきゅー、吉川。」
いつの間にか目当ての場所についたようで、熊岸は私が持っているメジャーを受け取った。
っていうかここ体育館倉庫じゃん。
どうせあと10分くらいで鰯とここで会うんだから、荷物もってこればよかった。
「じゃあ私帰るんで。さようなら。」
「じゃあな……あ、吉川っ」
急に腕を引かれて、熊岸に体を包まれる。
そして、ポンポンと私の頭を撫でた。
「好きだよ、千夏。」
持ち前のイケボとさわやかな笑顔で私をときめかせる烏賊さん。
たまにこういうサプライズがあるから、彼とかかわるのをやめられない。
でも、喜んでいるのは隠しておく。
「……ここ、学校ですよ?」
「っあ、ごめん……。」
熊岸が慌てて私から離れ、周囲に人がいないか確認する。
幸い誰もいなかった。
でも、その代わりに気まずい空気が流れた。
「じ、じゃあ私帰りますね!」
「あ、ああ、じゃあな吉川!」
「さ、さようなら~!」
はあ、ドキドキした。
まあ、今の私にはそんなもの感じている余裕ないけれど。
「今日も鰯との待ち合わせに遅刻だ。今日はどんなお仕置きをされるんだか。」
いやな顔をしながら、私は少しだけ足を速めた。
そういえば、昨日は夕食作らされたっけ。