osean's love~改訂版~
蛸~tako~
「昨日のテストを返す。満点は二人だけだった。一人目、塩北姫愛。取りに来い。」
「はいっ。」
塩北さんが立ち上がると、右側から甘い香りがしてきた。
はっきり言って臭いけど、周りの女子が塩北さんをあこがれのまなざしで見ているため、いやな顔はできない。
「塩北さん、さすがーって感じだよね~!」
「うん。 可愛いし頭もいいし優しいからあこがれる!おまけにいい匂いもするんだけど~。」
まったく、あの性悪女のどこが優しいんだか。
「二人目、吉川千夏。取りに来い。」
私は塩北姫愛が小学校から嫌い。
あの時は塩北さんよりも私のほうが勉強ができていたから、テストのたびに競い合ってたんだけど……私が勝つたびに嫌がらせを受けたんだ。
だから私は、勉強するのはやめて底辺の人間に生まれ変わった。
しかし、古典だけはどうも、勉強しないでもいい点を取れてしまうので困っている。
中学の時は古典がないからよかったのに。
というわけで私は、高校に行き始めて再び、いやな過去を思い出すのだった。
「吉川。吉川千夏、取りに来い。」
「あっ、は、はい!」
今回のテストも満点だったか。
ため息をつきながら紙を取りに行く。
「チっ」
すれちがうとき、塩北さんに舌打ちされた。
ひどい。
そして席に着くとまた紙が飛んできた。
今度は塩北さんが紙を投げる姿を確認できた。
『なんであんたも満点なのよ。私の頭の良さに勝てなくなったからやっと競わなくなったんだと思ったのに。私はみんなの信頼を得るためにも一人でトップにいたいのよ。早くバカになれ。』
手紙にはそう綴られていた。
やっぱり塩北さんは優しくない。
プライド高すぎてムリ。
っていうか、競いたがってたのも負けてたのもあのころは塩北さんだったからね!?
あまりにもイライラしていた私は、うっかり失礼なことを書いて、紙を投げつけてしまった。
『私だって満点取りたいわけじゃないし。お前が小学生の時に、私に勝てないのがかわいそうだから勉強やめてあげたのに。そんな暴言吐くなんてこの恩知らず!すっぴんブス!』
ちなみに彼女のすっぴんは見たことがない。
私はそっと塩北さんの顔を窺った。
怒られたら怖いなあ。
まあ、化けの皮が剥がれるから、それも悪くないかも。
「ひっく、うぅ……。」
ふと、隣からかわいらしい声ですすり泣くのが聞こえた。
見ると塩北さんだった。
周りのみんなも塩北さんを心配そうに見ている。
「塩北さん、どうしたの?」
一人の女子が塩北さんに声をかけながら歩み寄っていく。
しかし、スクールカーストでは結構下のほうにいる子なので、すぐに塩北さんの取り巻きに 突き飛ばされて終わった。
彼女が塩北さんに差し出していたハンカチは、虚しくも地面に落ちていった。
「姫愛、大丈夫?」
「姫愛、どうしたの?」
「姫愛ぇ、ぅちに話してごらんよぉ!」
取りまきたちはみんな塩北さんにハンカチを差し出している。
しかし塩北さんは、それも受け取らずただ地面に座り込んで泣いていた。
やがて塩北さんの周りには、私以外の全員が集まって話しかけていた。
さすが、クラスのリーダーですね。
「……あ、うぅ、吉川さんがぁっ……!」
塩北さんは結局それだけ言うと走って屋上行きの階段を駆け上がっていった。
みんなは私をにらみつけると、塩北さんを追いかけていった。凡人だ。
教室に残ったのは、私と浅田先生だけになった。
私は浅田先生のほうを見た。
浅田先生はメガネをはずし私のほうに歩み寄ってきた。
「やっと二人きりになったな 千夏。」
「えっ?あのっ」
私の顎に先生の手が触れた。
そして、私たちの唇がくっついた。
「はいっ。」
塩北さんが立ち上がると、右側から甘い香りがしてきた。
はっきり言って臭いけど、周りの女子が塩北さんをあこがれのまなざしで見ているため、いやな顔はできない。
「塩北さん、さすがーって感じだよね~!」
「うん。 可愛いし頭もいいし優しいからあこがれる!おまけにいい匂いもするんだけど~。」
まったく、あの性悪女のどこが優しいんだか。
「二人目、吉川千夏。取りに来い。」
私は塩北姫愛が小学校から嫌い。
あの時は塩北さんよりも私のほうが勉強ができていたから、テストのたびに競い合ってたんだけど……私が勝つたびに嫌がらせを受けたんだ。
だから私は、勉強するのはやめて底辺の人間に生まれ変わった。
しかし、古典だけはどうも、勉強しないでもいい点を取れてしまうので困っている。
中学の時は古典がないからよかったのに。
というわけで私は、高校に行き始めて再び、いやな過去を思い出すのだった。
「吉川。吉川千夏、取りに来い。」
「あっ、は、はい!」
今回のテストも満点だったか。
ため息をつきながら紙を取りに行く。
「チっ」
すれちがうとき、塩北さんに舌打ちされた。
ひどい。
そして席に着くとまた紙が飛んできた。
今度は塩北さんが紙を投げる姿を確認できた。
『なんであんたも満点なのよ。私の頭の良さに勝てなくなったからやっと競わなくなったんだと思ったのに。私はみんなの信頼を得るためにも一人でトップにいたいのよ。早くバカになれ。』
手紙にはそう綴られていた。
やっぱり塩北さんは優しくない。
プライド高すぎてムリ。
っていうか、競いたがってたのも負けてたのもあのころは塩北さんだったからね!?
あまりにもイライラしていた私は、うっかり失礼なことを書いて、紙を投げつけてしまった。
『私だって満点取りたいわけじゃないし。お前が小学生の時に、私に勝てないのがかわいそうだから勉強やめてあげたのに。そんな暴言吐くなんてこの恩知らず!すっぴんブス!』
ちなみに彼女のすっぴんは見たことがない。
私はそっと塩北さんの顔を窺った。
怒られたら怖いなあ。
まあ、化けの皮が剥がれるから、それも悪くないかも。
「ひっく、うぅ……。」
ふと、隣からかわいらしい声ですすり泣くのが聞こえた。
見ると塩北さんだった。
周りのみんなも塩北さんを心配そうに見ている。
「塩北さん、どうしたの?」
一人の女子が塩北さんに声をかけながら歩み寄っていく。
しかし、スクールカーストでは結構下のほうにいる子なので、すぐに塩北さんの取り巻きに 突き飛ばされて終わった。
彼女が塩北さんに差し出していたハンカチは、虚しくも地面に落ちていった。
「姫愛、大丈夫?」
「姫愛、どうしたの?」
「姫愛ぇ、ぅちに話してごらんよぉ!」
取りまきたちはみんな塩北さんにハンカチを差し出している。
しかし塩北さんは、それも受け取らずただ地面に座り込んで泣いていた。
やがて塩北さんの周りには、私以外の全員が集まって話しかけていた。
さすが、クラスのリーダーですね。
「……あ、うぅ、吉川さんがぁっ……!」
塩北さんは結局それだけ言うと走って屋上行きの階段を駆け上がっていった。
みんなは私をにらみつけると、塩北さんを追いかけていった。凡人だ。
教室に残ったのは、私と浅田先生だけになった。
私は浅田先生のほうを見た。
浅田先生はメガネをはずし私のほうに歩み寄ってきた。
「やっと二人きりになったな 千夏。」
「えっ?あのっ」
私の顎に先生の手が触れた。
そして、私たちの唇がくっついた。