私的日常記録


「松田君?私蕎麦買いに行くの。分かる?」


「首傾けてからの上目遣いは卑怯だ!可愛いすぎるよ!だけど大川ちゃんが待ってるから!」


「サァヤ?」




いきなり出てきた第三者の名前に嫌な予感しかしない。


スーパー行きたいなー。蕎麦が私を待っているはずなんだよなー。




「ほら、海行くでしょ?」


「……あれ実行する気だったの!?」





何の事かというと、テスト返却日にサァヤお嬢様が仰られた戯言である。


正直私はノリで「何処までもお供します」とか言ったから忘れてたわ。


あれで別荘行き確定と見なされてたのか、もっと自分の発言に責任を持たなきゃな。


将来質の悪い取引先の口車に乗せられたら洒落にならない。




「ほら、行こう!」


「いや待って私何も持ってない。こんな誘拐チックな招待あってたまるか!それに
親にも何も言ってないから……」



「レミちゃ~ん!今大川さんって方から電話頂いたわよ~ 」

「え、サァヤなにしてんの?私家の電話番号教えてない」


「もぅ、旅行くらい好きに行っていいのに♪何も準備は必要ないって言ってたから、色々用意してくれてるみたいよ?悪いからこれだけ持って行きなさい!」
「でも私蕎麦……」
「そんなのいいわよ!お友達待たせてるんでしょ?彼氏イケメンね!今度紹介してね!うふふ♪」
「いや話聞いて!彼氏じゃないし……」
「僕、松田 亮介 と言います。よろしくお願い致します、お義母様。」
「あらいやだ!しっかりしてるじゃな~い♪いい男捕まえたわねぇ」




もう私空気よろしく二人で盛り上がってるので、今のうちに逃げられないかな?


あ、無理ですね。変態の手で逃走防止されてます。


いい加減手を離せ。


掴まれた手は痛くないのに、剥がそうとしても離れない変態の手


何これどうやってんの?


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