私的日常記録
少し先に進んでいるサァヤに、私にしては珍しい大声を掛ける。
あとは吉田君、察してください
吉田君がサァヤに何やら話し掛けているのを見て、作戦の成功を確信する。
流石だよ吉田君。
「分かった!先行ってるから、治ったら連絡頂戴ね!またね!」
「分かった!じゃあ後で!」
手を繋いで、元気に園内に溶け込んで行くサァヤと吉田君。
普通具合悪かったらこんな大声出せないと気付くだろうが、これぞサァヤスペック。
「レミちゃん大丈夫!?あぁ、どえしたらいい?水、じゃなくてスポーツドリンク?」
「まず黙ろうね」
「はい!」
これだけ至近距離にいてもこんな反応のやつもいるんだ……
私そんなに不健康そうに見えるの?
アワアワとしながらも口を押さえ『黙る』という命令を守ろうとする松田君に笑ってしまう。
落ち着け自分、今は病人だ。
別行動が取れたことを良いことに、しばらく睡眠をとった。
無理矢理起こされたから眠かったんだ。それは認める。ただ、
「どうして私の頭が固い膝の上にあるのか、説明願おうか?」
「レミちゃんの寝顔が可愛すぎたので俺が膝の上にのせました!」
「寝ている人の手を握り続けたのは?」
「レミちゃんを離したくなかったからです!」
ここで「私の命令(お手)に従ってただけだ」とか言わない辺り潔くていいよね。
言い訳のない堂々とした犯行を聞けば、どうやら私は変態の膝枕で寝ていたらしい。
私起きろよ!
それも入場口すぐの直射日光ガンガンのベンチから木陰のそれへと移動しているところを見ると、どうやら運搬されたらしい。
あの悪夢がこの人混みの中行われたと考えるだけで吐き気がする。
ある意味記憶がなくて良かった。