私的日常記録
「レミちゃんお腹空かない?」
「平気。寝てただけだからね」
「そっか。…………ちょっとつまむもの買ってきて良いかな?」
「お好きにどうぞ?」
意識が覚醒してからすぐに膝の上から退いたのに、行動を一々確認するとか、松田君律儀。
変態でも男子高校生たるもの食欲は旺盛なようだ。
買いに行くのに私を動かず気は無いらしく、名残惜しそうに離した手を見てくるので、しょうがないから今度『おかわり』でもしてやってもいいかな
青空が広がる7月の昼間でも、大きな木の陰になっているこのベンチは風が吹く度に夏らしい爽やかな空気が駆け抜ける。
合流しないでこのまま座ってのんびり過ごすのもいいかもしれない。
目の前を途切れることなく往来する人々を目にぼんやりと写す。
この人達で、ここ以外で出会うことはもう無いに等しいんだろうな
一ヶ所、妙に女の子達が集まっている所があるが、あの子達とは会話もしないんだろうな
……女の子の塊?
あぁ、女の子達から頭ひとつ飛び出して見えるの中心にいるのは、ワンコ君ですね。
あの子ナンパされてばっかじゃないか?
あれで一人じゃ買い物とか行けなくない?よく困らなかったね今まで。
今は特に時間がない訳でもないし、こちらに来る様子もないのでそのまま見守る子とする。
それくらい自分で抜けてみせな
「ねぇねぇ、お嬢ちゃん一人かな?」
「俺等と一緒に遊ばない?」
ナンパとかってそんなに無いだろ、とか思ってたけど、実際あるんだね。
暇なんだね、来る前に知り合いの女の子に声かけた方が一緒に遊べる確率高いだろうに
それが出来ないとは余程の嫌われ者と見える。
「嫌われ者って俺等のこと?」
「そうじゃね?酷いな~俺等モテるんだよ?」
「もしやテレパシーの使い手?」