私的日常記録
[ まぁ、あなたの声は通りますし、紹介のしかたも面白いです。これからは他のクラスの子達のことも紹介していただけますか? ]
[ は、はい。…………あの!お名前は!? ]
[ あなたが頑張れば教えてあげます。]
[ ぅぅおぉ待たせしましたぁ!第三走者第八レーン、木ノ下 綺羅こと、キラちゃんだぁ!可愛い名前とイケメン性格で人気の彼はどのような走りを見せるのでしょうか!? ]
[ 出来るじゃないですか。最後まで頑張ってくださいね?]
[ ファイ! ]
カナやんのアメムチに落とされたな、放送委員君。
放送機器の電源を入れっぱなしだったため、話を聞いた同じクラスであろう周りからも「ワサビ頑張れ!」などと言われている。
カナやん彼氏いるのに、放送委員君可哀想に。
まぁその前に、まずワサビの由来を聞こうか?
[ 応援ありがとう!蕎麦にワサビ入れすぎて泣いて以来、あだ名がワサビのワタクシ若井、頑張らせていただきます! ]
分かったわ。ワサビは若井君のあだ名だ。
ワサビ君と私のリズム合いすぎだな。
もう声に出さずともすべての疑問を解決してくれてるよ。
しばらくして、放送ブースからカナやんが戻ってきた。
「教育お疲れ。名前教えるの?」
「はい。玲美ちゃんの名前でも言っておきます。」
「何故に!?」
「彼、『私の名前』なんて言ってないでしょう?だから私はそのまま『名前』を教えるんです。」
人の名前じゃなくてもいいんですけどね、国語教材でも持って「これの名前は教科書です」なんて言いましょうかね?とか言ってるカナやんは鬼だろうか?
「…………そう。」
「はい。でもやっぱり玲美ちゃんの名前お借りしてもよろしいですか?」
カナやん、粗探すの上手すぎだよ。
もう私はカナやんの前で迂闊に喋れないかもしれない。