Fruit Jewel




あたしと青樹は世に言う幼なじみ。


あたしが住む一帯は、当時ニュータウンとして建設されて、あたしの両親も青樹の両親も、結婚を期にここに越して来た。


丁度同じ時期にあたしたちを身篭ったママズは、喜びや不安を共有して大の仲良しになった。


だからあたしと青樹はそんなママズの影響もあって赤ちゃんの頃から一緒に育てられた、兄妹みたいな関係。


まー、よくある話。


それなのにどうして学校では話さないのか?


特別、喧嘩したとかじゃないし、ましてや恋愛のもつれ…なんてあったわけじゃない。


あたしと青樹の間には、ね。


ただなんとなく、高校に進学して、お互いの環境ががらりと変わって、話す機会がなくなっちゃっただけ。


学校で話さなくても、学校を離れれば子供の頃から築いてきた関係は何も変化はないけど。


ふと、また唯の言葉が頭をよぎった。


あたしの目の前で堂々と着替える青樹に見入る。


小学生になるまで一緒にお風呂に入っていた時とは全然違って、綺麗な腹筋がお腹に割れ目をつくっていて、腕にも太くはないけど綺麗に筋肉がついている。


見慣れてるけどまじまじ見たことはなくて、あたしの知っている青樹じゃないみたいで、なんだか青樹が知らない人に見えた。


「ねぇ」


呼びかけるあたしに脱いだ制服を投げる青樹。


「なんだよ」


「あたしって成長してるかなぁ」


まだ温もりが残る制服を握りしめて問い掛ける。


「は? 頭でもぶった?」


…ムカつく。


むーっと膨れると、青樹はあたしに近付きあたしを食い入るように見た。


「なっなによ!?」


上から下まで見られると、顔が赤らむ。


無言の時間が少し緊張する。


「まー」


暫くして重々しく口を開く青樹。


「胸だけは成長したんじゃね?」











ドゴッ!


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