俺は絶対好きにならない
告白
ルイから話があるから、一緒に帰りたいといわれていたのでルイを下駄箱で待っていた
そこへ、彩羽が「けーちゃんだっ!」と嬉しそうにやってきた
「今、帰りー?」
「うん」
「私も!一緒に帰ろうよー」
ルイは俺だけを呼んだというなんらかの意図をくみ取ると、彩羽がいるのはまずいなと感じ、彩羽に断る
「悪い、今日はちょっと」
「っ?うん??」
なかなか俺が断ることもないので、彩羽は驚いた顔をしたが、粘ることもなくばいばーいと帰っていく
なんか、彩羽に少し嘘をついたような後味の悪さだった
ちょっとして、ルイがやってくる
「ごめん、待たせたね」
「いや、」
「彩羽きた?」
「うん、まぁ、特に詮索せずに帰っていった」
「そっか、彩羽に悪いことしちゃったかな」
「まぁ、別に大丈夫だろ」
「そっか、で、話なんだけど、、、」
ルイが歩き出すのに合わせて歩き出す
「前に、彩羽が好きだって言っただろ?」
「うん」
「一樹の話を聞いた今でもその気持ち変わらない
ってか前より大きくなってる」
俺は少しうつむく
まっすぐ前を見てる、ルイが眩しすぎた
一呼吸おいてルイは言う
「彩羽に告白しようと思う」
正直、言うと聞きたくなかった
「振られたり、付き合えたとしてもこの3人でいる関係が崩れたらとか、いろいろ考えたけど、やっぱりオレはオレ自身に嘘つけない」
「どうして俺に?その言葉、彩羽に直接いえばいいじゃないのか?」
イタイ、言う気もないのに口から出てくるのは意地悪な言葉
気づいてるのか気づいていないのか、ルイは照れたように言う
「だって、やっぱりけーすけに一番に祝ってほしいじゃん
少なからず、一番影響受けるのはけーすけだし」
「俺は、別に、、、 」
「これから一緒にいるにあたって、一杯話してくれたから、彩羽とけーすけには隠し事しない!」
ルイが笑う
ルイは俺が彩羽を親友だとしか思っていないといったことに対して、今ではなんの抵抗もなく受け入れている
なぜそうなったかを話したところで、俺は彩羽の彼氏候補にはなれないし、なるつもりもない
でも、俺も彩羽もルイに隠し事はしない
だから、今にもたらされる俺と彩羽の関係の影響は話しておく必要がある気がした
そして、俺は言うことにした
「ルイ、今から話すことで俺は彩羽の親友からそれ以上になるつもりは専らないことは先に言っておく
俺も彩羽もルイに隠し事しないことは決めてるし、いつか分かることだから言うよ」
「彩羽は一樹と付き合っていた」
俺はまたのけものになるのかと彩羽とかずが付き合ったときの感情が蘇る
ルイの目がぱっと見開く
「小さい頃から、彩羽は一樹のことが好きだってことは気づいていたし、一樹も彩羽のこと大好きだったんだ
小学校卒業式の日に彩羽に一樹が告白して付き合うようになった
だけど、中2で一樹は死んで、それもあって彩羽は余計、一樹の死に取りつかれていた
今は、別段一樹のことが好きだということはないと思う」
その言葉に、ルイは少しだけ安堵する
「もう一つ、彩羽の両親は彩羽が中3のとき離婚している
彩羽は今、母親と暮らしているが、母親は出張ばかりで、家に基本いないから、彩羽は一人暮らし状態
彩羽の両親は小さい頃からの幼馴染でそのまま結婚した
お互いがお互いのことしか見てこなかったために、若くして結婚した両親は、それぞれ違う会社に就職して、他の人も見るようになって、しだいに心が離れていって離婚」
ルイに話す俺たちの過去は、なぜか重いものばかりになっている
本当は、いいことだってあったはずなのに、苦しいことの方が重くのしかかっていて、自分たちのうまく処理できていない不器用さに少しだけ気がめいる
「彩羽にとって幼馴染を好きになることが恐怖になってるってこと?」
正直、告白するのをやめた方がいいかなとつぶやくか無言なると思った
しかし、ルイはそのどちらでもなく、痛いところをついてきた
「それってさ、彩羽とけーすけが互いのことを親友って言い続けるのには、好きっていう気持ちにふたをしてるってことじゃないのか?
だって、現に、けーすけは彩羽のこと大好きだろ」
正直、なんだそれという回答が正しい
「だから、なんで好きにすぐ持っていくんだよ
俺は彩羽と親友なんだって
前置きでも、変わらないって言ったけど」
「日本男子はシャイだというけど、それって建前気にしてるだけじゃない?」
「急に、日本男子って、、、」
「オレは、昔から自分に向いてくれないことにすねているようにしかみえないよ
彩羽はけーすけが思っている通りかな?」
「なに?」
少しだけ、ルイに対して腹が立つ
途中から入ってきたやつのくせに俺たちのことを偉そうに決めるなと
「オレは彩羽とけーすけお似合いだと思うよ」
「それは今から彩羽に告白するってやつの言葉かよ」
「本音を言ったまで
彩羽のこと、一番知ってるのも、オレより大事にできるのもけーすけだけなんじゃないのか?
自分で言うのもなんだけど、今までずっと辛い時も楽しい時も苦しい時も一番にそばにいて支えてたのはけーすけじゃないの?」
正直いって何も言えない
「けーすけが彩羽のこと好きだって言うなら、オレはけーすけ応援するよ
でも、けーすけ以外の男に彩羽を取られるくらいならオレが彩羽をもらう」
「、、、ルイは強いよ
こんな、彩羽の過去の重い話、聞いたら誰だって、ひるむよ」
「ひるんで欲しかった?」
「いや、ちゃんと聞いて、知ったうえで、即決で、彩羽がいいって言ってくれてよかった」
ルイに向き直る
「俺は、彩羽をルイより大事にできるよ
一番近くにいたのも、支えてきたのも全部俺だ
でも、俺じゃだめなんだ」
「幼馴染だから?」
「違う、大事すぎて、だめなんだ
彩羽を失ったら、俺、ほんとダメになる」
ルイ相手に自分でも知らなかった自分の奥にあった言葉があふれる
「なんで、同性は変わらずに付き合っていけるのに、異性になると、好きとか嫌いとかで離れなきゃなんねーのかな
俺は、異性であっても、彩羽とずっと付き合っていきたいよ
だから、だから、『親友』なんだ」
「でも、彩羽が誰かと結婚してしまえば、彩羽は誰かのものになってけーすけとはいられなくなる」
「でもっ、それでも、俺自身が彩羽を嫌いになってしまうかもしれないってことが怖い」
ルイは何も言えずに黙り込む
「俺は、その誰かがルイであって欲しいよ」
ルイははっと顔を上げる
そして、少し黙り込んで言う
「やっぱり、オレは彩羽が好きだから告白するよ」
俺は、自分にできないことをやるルイが羨ましかっただけで、最終的には、ルイと彩羽が結ばれることを望む
彩羽を大事にしてくれる人が現れたんだ
それで十分だろう
次の日、ルイは彩羽に告白した
部活終わりに携帯を開くと返事は待ってと言われたとルイからメールが来ていた
部活帰りにサトと帰る
俺は、彩羽の反応に心がいっていた
「おーい、慶介~、、、 けーちゃん!」
「えっ、あー」
サトが俺を戻す
「なに、ぼっーとしてんの?今日1日中」
「1日中もぼっーとしてないだろ」
「どうだか」
「だって、数学の問題、急に当てられたけど、解けただろ」
「そうだっけー、そうだっけーっと
なぁ、彩羽ちゃんと、ルイ君何かあった?」
「なんで?」
痛いところをつくのはもはやサトと特技なのか
タイムリーな話題をぶち込んでくる
「さっき、道場の前を微妙な距離で歩いてた」
「さぁー、ルイが余計なこと言ったとか?」
「ルイ君って意外と彩羽ちゃん怒らすことあるの?」
「うーん、本人は怒らすつもりはみじんもないんだけど、ついぽろっと出た言葉が逆鱗に触れたりとか、、、?」
「ルイ君、天然入ってるよねー(笑)」
「うん、まー」
「2人のケンカとかは見たことあるけど、慶介と彩羽ちゃんってケンカするの?」
「俺達?中学入ってからはあんまりしてなくて、最近全くかな、、、」
「仲いいから?」
そういうことでもない気がする
「大人になったからじゃないか?」
「大人にねー」
意味ありげに、微笑むサトは相変わらず恐ろしかった
家に帰ると、彩羽の靴が玄関に合った
リビングに入ると変に明るい彩羽が小豆とくつろいでいた
「おかえりー、けーちゃん」
「ただいま、急にどうした?」
何がったかなんて予想できるが、知らないふりを装って聞く
「なにか、用がなきゃ来ちゃダメ??」
「別にそういうわけじゃないけど、、、」
「っま、作りすぎたおかずを持ってきたよ!」
「ありがとう」
「あと、、、、」
彩羽が真剣な顔をする
「けーちゃんに話したいことある」
ひとまず、俺の部屋に彩羽も連れて行く
「ルイに告白された」
堂々と宣言する
「うん」
「けーちゃん、知ってたよね」
「うん」
「私、待っててって言っちゃった」
「うん」
俺は聞き役に徹することにした
「ルイは、振られてもいいから私にちゃんと好きだって伝えたかったって言ってくれた
それに、好き、嫌いでオレと彩羽とけーすけの関係は簡単に終わらせないって言ってくれた」
「うん」
「気まずくならないって
だから、私の思う答えを下さいって」
「うん」
「けーちゃんは?けーちゃんはどう思う?」
急に話が振られて驚く
「それは、彩羽の問題じゃん
ルイが、彩羽の思う通りでいいっていうんだから、決めるのは彩羽じゃないのか?」
「けーちゃんはどう思うのか聞きたい」
きっと、彩羽の答えは俺で決まる気がした
「俺がどうこうじゃないって、この問題は彩羽とルイの問題で俺は関係ないよ」
「わかってるけど、けーちゃんの意見が聞きたい」
「俺は、ルイを応援してるよ」
ルイに言った言葉に後悔はない
「それに、俺に意見聞くのは間違ってるよ
ルイは彩羽に答えてほしいんだから、俺の意見を自分の答えにするのは間違ってる」
俺は彩羽をつきはなしたんだ
彩羽は顔を俯かせる
「俺と彩羽は親友だろ
ルイなら俺なんかよりずっと大事にしてくれるよ」
彩羽はうつむいたまま言う
「私はけーちゃんといたい
だから、親友だよ
でも」
顔を上げて、キッと睨む
「けーちゃんは分かってない」
ばたんと扉を強くしめて、彩羽が出ていく
ちょっと間があき、玄関の扉も同じくばたんと閉まる
俺はちょっとの間、放心状態だった
「分かってない?なにが??」
次の日、高校生になって初めて、無言で彩羽のお迎えがなかった
つまり、あたりまえの彩羽との登校もないわけで、「おはよう」もない
学校に行っても彩羽は来ているが、話しかける隙もない
不穏な空気を察知した、サトが俺に朝から言ってくる
「彩羽ちゃんとけんかした?」
俺が一番聞きたい質問をしてきた
「俺が一番知りたいわ!!」
そこへ、彩羽が「けーちゃんだっ!」と嬉しそうにやってきた
「今、帰りー?」
「うん」
「私も!一緒に帰ろうよー」
ルイは俺だけを呼んだというなんらかの意図をくみ取ると、彩羽がいるのはまずいなと感じ、彩羽に断る
「悪い、今日はちょっと」
「っ?うん??」
なかなか俺が断ることもないので、彩羽は驚いた顔をしたが、粘ることもなくばいばーいと帰っていく
なんか、彩羽に少し嘘をついたような後味の悪さだった
ちょっとして、ルイがやってくる
「ごめん、待たせたね」
「いや、」
「彩羽きた?」
「うん、まぁ、特に詮索せずに帰っていった」
「そっか、彩羽に悪いことしちゃったかな」
「まぁ、別に大丈夫だろ」
「そっか、で、話なんだけど、、、」
ルイが歩き出すのに合わせて歩き出す
「前に、彩羽が好きだって言っただろ?」
「うん」
「一樹の話を聞いた今でもその気持ち変わらない
ってか前より大きくなってる」
俺は少しうつむく
まっすぐ前を見てる、ルイが眩しすぎた
一呼吸おいてルイは言う
「彩羽に告白しようと思う」
正直、言うと聞きたくなかった
「振られたり、付き合えたとしてもこの3人でいる関係が崩れたらとか、いろいろ考えたけど、やっぱりオレはオレ自身に嘘つけない」
「どうして俺に?その言葉、彩羽に直接いえばいいじゃないのか?」
イタイ、言う気もないのに口から出てくるのは意地悪な言葉
気づいてるのか気づいていないのか、ルイは照れたように言う
「だって、やっぱりけーすけに一番に祝ってほしいじゃん
少なからず、一番影響受けるのはけーすけだし」
「俺は、別に、、、 」
「これから一緒にいるにあたって、一杯話してくれたから、彩羽とけーすけには隠し事しない!」
ルイが笑う
ルイは俺が彩羽を親友だとしか思っていないといったことに対して、今ではなんの抵抗もなく受け入れている
なぜそうなったかを話したところで、俺は彩羽の彼氏候補にはなれないし、なるつもりもない
でも、俺も彩羽もルイに隠し事はしない
だから、今にもたらされる俺と彩羽の関係の影響は話しておく必要がある気がした
そして、俺は言うことにした
「ルイ、今から話すことで俺は彩羽の親友からそれ以上になるつもりは専らないことは先に言っておく
俺も彩羽もルイに隠し事しないことは決めてるし、いつか分かることだから言うよ」
「彩羽は一樹と付き合っていた」
俺はまたのけものになるのかと彩羽とかずが付き合ったときの感情が蘇る
ルイの目がぱっと見開く
「小さい頃から、彩羽は一樹のことが好きだってことは気づいていたし、一樹も彩羽のこと大好きだったんだ
小学校卒業式の日に彩羽に一樹が告白して付き合うようになった
だけど、中2で一樹は死んで、それもあって彩羽は余計、一樹の死に取りつかれていた
今は、別段一樹のことが好きだということはないと思う」
その言葉に、ルイは少しだけ安堵する
「もう一つ、彩羽の両親は彩羽が中3のとき離婚している
彩羽は今、母親と暮らしているが、母親は出張ばかりで、家に基本いないから、彩羽は一人暮らし状態
彩羽の両親は小さい頃からの幼馴染でそのまま結婚した
お互いがお互いのことしか見てこなかったために、若くして結婚した両親は、それぞれ違う会社に就職して、他の人も見るようになって、しだいに心が離れていって離婚」
ルイに話す俺たちの過去は、なぜか重いものばかりになっている
本当は、いいことだってあったはずなのに、苦しいことの方が重くのしかかっていて、自分たちのうまく処理できていない不器用さに少しだけ気がめいる
「彩羽にとって幼馴染を好きになることが恐怖になってるってこと?」
正直、告白するのをやめた方がいいかなとつぶやくか無言なると思った
しかし、ルイはそのどちらでもなく、痛いところをついてきた
「それってさ、彩羽とけーすけが互いのことを親友って言い続けるのには、好きっていう気持ちにふたをしてるってことじゃないのか?
だって、現に、けーすけは彩羽のこと大好きだろ」
正直、なんだそれという回答が正しい
「だから、なんで好きにすぐ持っていくんだよ
俺は彩羽と親友なんだって
前置きでも、変わらないって言ったけど」
「日本男子はシャイだというけど、それって建前気にしてるだけじゃない?」
「急に、日本男子って、、、」
「オレは、昔から自分に向いてくれないことにすねているようにしかみえないよ
彩羽はけーすけが思っている通りかな?」
「なに?」
少しだけ、ルイに対して腹が立つ
途中から入ってきたやつのくせに俺たちのことを偉そうに決めるなと
「オレは彩羽とけーすけお似合いだと思うよ」
「それは今から彩羽に告白するってやつの言葉かよ」
「本音を言ったまで
彩羽のこと、一番知ってるのも、オレより大事にできるのもけーすけだけなんじゃないのか?
自分で言うのもなんだけど、今までずっと辛い時も楽しい時も苦しい時も一番にそばにいて支えてたのはけーすけじゃないの?」
正直いって何も言えない
「けーすけが彩羽のこと好きだって言うなら、オレはけーすけ応援するよ
でも、けーすけ以外の男に彩羽を取られるくらいならオレが彩羽をもらう」
「、、、ルイは強いよ
こんな、彩羽の過去の重い話、聞いたら誰だって、ひるむよ」
「ひるんで欲しかった?」
「いや、ちゃんと聞いて、知ったうえで、即決で、彩羽がいいって言ってくれてよかった」
ルイに向き直る
「俺は、彩羽をルイより大事にできるよ
一番近くにいたのも、支えてきたのも全部俺だ
でも、俺じゃだめなんだ」
「幼馴染だから?」
「違う、大事すぎて、だめなんだ
彩羽を失ったら、俺、ほんとダメになる」
ルイ相手に自分でも知らなかった自分の奥にあった言葉があふれる
「なんで、同性は変わらずに付き合っていけるのに、異性になると、好きとか嫌いとかで離れなきゃなんねーのかな
俺は、異性であっても、彩羽とずっと付き合っていきたいよ
だから、だから、『親友』なんだ」
「でも、彩羽が誰かと結婚してしまえば、彩羽は誰かのものになってけーすけとはいられなくなる」
「でもっ、それでも、俺自身が彩羽を嫌いになってしまうかもしれないってことが怖い」
ルイは何も言えずに黙り込む
「俺は、その誰かがルイであって欲しいよ」
ルイははっと顔を上げる
そして、少し黙り込んで言う
「やっぱり、オレは彩羽が好きだから告白するよ」
俺は、自分にできないことをやるルイが羨ましかっただけで、最終的には、ルイと彩羽が結ばれることを望む
彩羽を大事にしてくれる人が現れたんだ
それで十分だろう
次の日、ルイは彩羽に告白した
部活終わりに携帯を開くと返事は待ってと言われたとルイからメールが来ていた
部活帰りにサトと帰る
俺は、彩羽の反応に心がいっていた
「おーい、慶介~、、、 けーちゃん!」
「えっ、あー」
サトが俺を戻す
「なに、ぼっーとしてんの?今日1日中」
「1日中もぼっーとしてないだろ」
「どうだか」
「だって、数学の問題、急に当てられたけど、解けただろ」
「そうだっけー、そうだっけーっと
なぁ、彩羽ちゃんと、ルイ君何かあった?」
「なんで?」
痛いところをつくのはもはやサトと特技なのか
タイムリーな話題をぶち込んでくる
「さっき、道場の前を微妙な距離で歩いてた」
「さぁー、ルイが余計なこと言ったとか?」
「ルイ君って意外と彩羽ちゃん怒らすことあるの?」
「うーん、本人は怒らすつもりはみじんもないんだけど、ついぽろっと出た言葉が逆鱗に触れたりとか、、、?」
「ルイ君、天然入ってるよねー(笑)」
「うん、まー」
「2人のケンカとかは見たことあるけど、慶介と彩羽ちゃんってケンカするの?」
「俺達?中学入ってからはあんまりしてなくて、最近全くかな、、、」
「仲いいから?」
そういうことでもない気がする
「大人になったからじゃないか?」
「大人にねー」
意味ありげに、微笑むサトは相変わらず恐ろしかった
家に帰ると、彩羽の靴が玄関に合った
リビングに入ると変に明るい彩羽が小豆とくつろいでいた
「おかえりー、けーちゃん」
「ただいま、急にどうした?」
何がったかなんて予想できるが、知らないふりを装って聞く
「なにか、用がなきゃ来ちゃダメ??」
「別にそういうわけじゃないけど、、、」
「っま、作りすぎたおかずを持ってきたよ!」
「ありがとう」
「あと、、、、」
彩羽が真剣な顔をする
「けーちゃんに話したいことある」
ひとまず、俺の部屋に彩羽も連れて行く
「ルイに告白された」
堂々と宣言する
「うん」
「けーちゃん、知ってたよね」
「うん」
「私、待っててって言っちゃった」
「うん」
俺は聞き役に徹することにした
「ルイは、振られてもいいから私にちゃんと好きだって伝えたかったって言ってくれた
それに、好き、嫌いでオレと彩羽とけーすけの関係は簡単に終わらせないって言ってくれた」
「うん」
「気まずくならないって
だから、私の思う答えを下さいって」
「うん」
「けーちゃんは?けーちゃんはどう思う?」
急に話が振られて驚く
「それは、彩羽の問題じゃん
ルイが、彩羽の思う通りでいいっていうんだから、決めるのは彩羽じゃないのか?」
「けーちゃんはどう思うのか聞きたい」
きっと、彩羽の答えは俺で決まる気がした
「俺がどうこうじゃないって、この問題は彩羽とルイの問題で俺は関係ないよ」
「わかってるけど、けーちゃんの意見が聞きたい」
「俺は、ルイを応援してるよ」
ルイに言った言葉に後悔はない
「それに、俺に意見聞くのは間違ってるよ
ルイは彩羽に答えてほしいんだから、俺の意見を自分の答えにするのは間違ってる」
俺は彩羽をつきはなしたんだ
彩羽は顔を俯かせる
「俺と彩羽は親友だろ
ルイなら俺なんかよりずっと大事にしてくれるよ」
彩羽はうつむいたまま言う
「私はけーちゃんといたい
だから、親友だよ
でも」
顔を上げて、キッと睨む
「けーちゃんは分かってない」
ばたんと扉を強くしめて、彩羽が出ていく
ちょっと間があき、玄関の扉も同じくばたんと閉まる
俺はちょっとの間、放心状態だった
「分かってない?なにが??」
次の日、高校生になって初めて、無言で彩羽のお迎えがなかった
つまり、あたりまえの彩羽との登校もないわけで、「おはよう」もない
学校に行っても彩羽は来ているが、話しかける隙もない
不穏な空気を察知した、サトが俺に朝から言ってくる
「彩羽ちゃんとけんかした?」
俺が一番聞きたい質問をしてきた
「俺が一番知りたいわ!!」