心が聞こえる
「私、人を見る目には自信あるんだ」
 自慢げに湯野に語る理恵。
「ちょっとこっち来て?」
 突然、理恵が一輝の二の腕を掴んでスタッフの輪から離れる。
 そして周りのスタッフに聞こえないように小声で話す。
「この後も時間ある?」
「まぁ、今日は何も予定無いけど……」
 一輝もつられて小声で答える。
「じゃあさ、もうすぐ撮影終わるから、一緒にお茶しない?」
「え?」
「私、あなたと色々話してみたい」
「で……でも良いの? その……そういうのマネージャーとかがうるさいんじゃ?」
「だから、マネージャーに内緒♪」
 イタズラっぽい笑顔で、口に人差し指を当てる理恵。
「構わないよね? じゃあ、すぐ行くから、人に見つからないように、裏にある入り口の所で待ってて?」
 そう言って、スタッフの輪の中へ戻っていく理恵。
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