心が聞こえる
 仕方なく、とりあえず先に待たせている悠と美香の所へと向かう。
「お? 一輝! こっちこっち!」
 一輝を呼ぶ悠。ちょうど二人は裏口の所にいた。
「お前、一体どうなってたんだよ?」
 何かを期待しているのか、楽しそうに悠が聞く。
「そのことなんだけどさ。明日詳しく話すんじゃダメかな?」
「何で? 私も早く聞きたいのに」
 言おうかどうか一瞬迷った一輝だが、意を決して二人に告げる。
「あのさ……俺、真嶋理恵にデートに誘われちゃったんだよね」
『ええっ!』
 漫才コンビの様に、息の合った声を上げる二人。
「それでさ、もうすぐあの子がここに来るから、長く話し出来ないんだよね」
「お前すげぇじゃん! 女優とデートだぜ!?」
「まぁデートって言っても、ただ一緒にお茶飲みながら話するだけだけど……」
「立派なデートだって! その話も、明日学校来たらちゃんと教えろよ?」
「わかってるよ」
 思わぬ展開に、一輝よりも二人は興奮している。
「とりあえず、今から彼女ここに来るんでしょ? 一輝、私達を紹介してくれないかな?」
「それくらいなら、平気かな……?」
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