心が聞こえる
 三人は、ウッドテイストで、和風な雰囲気の定食屋で、テーブルに並べられた定食を食べながら、昨日のことを語っていた。
「……で、夜遅かったから近くの駅まで送って終わり、って感じかな」
 店での出来事を一通り話し終える一輝。
「……ハァ……何で兄妹かなぁ……」
 悠は盛大に溜め息をつく。
「そうなるとは思ってたけど……相変わらず押しが弱いなぁ、一輝君」
「押しが弱いって……一体何を押すんだよ?」
 悠の言葉に、眉をひそめ、何を言いたいのか分からない、といった表情で悠を見やる一輝。
「でもまぁ、かなり仲良くなっただけでも良しとするか」
「……ごめん。何が言いたいのか全然分からないんだけど」
 一人で納得している悠に、眉をひそめたまま一輝は言う。
「そこだよそこ!」
「どこだよ」
 思わずツッコむ一輝。
「その、恋愛に関して、うとくて押しが弱いところがいかんのだよ君」
「俺が誰と恋愛するんだよ」
「もちろん! 理恵とに決まってるじゃないか」
「ハァー!? 何で理恵と恋愛しなきゃなんないんだよ」
 一輝は、信じられないといった顔をする。
「大体、理恵とはまだ一日しか一緒にいたことないのに、何でそれで恋愛まで発想が発展するんだよ」
「――じゃあ聞くが、お前は理恵の事どう思ってるんだよ?」
「……どうって……
 そりゃ顔は可愛いし綺麗だし、性格も……
 ――まぁ、ちょっと強引だけど……明るくて積極的なところは、好きっちゃ好きかな」
「だろ?
 しかも、はたから見てると、一輝にかなりの好意を持ってるのは明らかだし」
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