心が聞こえる
「そうなの?」
「確かに、女の私から見ても、ああいう接し方は、好意がなきゃしないと思うよ?」
 悠の言葉を後押しする美香。
「ともかく! 理恵と話したりデートしたりしてみろって。
 男と女なんて、どこでどうなるか分からないんだから」
 一輝を指差しながら、熱く語る。
「そうそう。
 私も、まさかこんなおちゃらけ男と付き合うなんて思ってもなかったんだから」
「そうそう――って、おいっ!
 おちゃらけ男って俺のことか!?」
「あれ? 他に誰がいるって言うの?」
 おどけた顔で、さも当然のごとく、美香は言いのける。
「ううう……
 俺が何したってゆーんだ……」
 腕で目を覆い、泣きマネをしつつも、その目はしっかりと美香を覗き見ている。
「――まぁ、冗談はさておき……私も悠には賛成かな。
 まだ恋愛って程じゃなくても、気にはなってるんでしょ?」
 その言葉に、一輝は自信無さそうに、
「……えっと……その……どうかな……」
 と、あいまいにつぶやく。
「とりあえず、メールでもしてデートに誘ってみなよ?
 デートって言っても、ちょっと遊園地とかに遊びに行く位で良いんだからさ」
「……それって、ちょっとのデートじゃない気がするんだが……」
 美香の提案に、悠は苦笑いをする。
「ともかく! 今、メール送ってみなって」
 美香にせかされ、ほんの少し緊張しながらも、一輝はゆっくりとメールを打つ。
『こんばんは。大山一輝です。
 昨日はありがとうございました。とても楽しかったです。
 突然ですが、もし良かったら、次に理恵さんの仕事が休みの日に、一緒に遊園地に行きませんか?』
「お前、何で敬語でメール打ってるんだよ?」
 携帯を覗いた悠に、指摘される。
「……まあいいか。その方がお前らしいわ……」
 悠に言われ、一輝は戸惑いの表情を見せるが、一回深呼吸をし、思い切って送信ボタンを押した。
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