心が聞こえる
 やがて開店時間になり、店を開けると、すぐにお客さんが入ってきた。
そして一時間もしない内に満席になり、店の中は会社帰りの人や近所の常連さんで賑わう。
「すいませーん」
「はーい」
「鶏の唐揚げと枝豆、それから青りんごサワー追加で」
 金曜日はいつも満席になるので、息つく暇もないほどだ。
 注文を受けては、テーブルとカウンターを一輝は行ったり来たりしている。
 そして、グラスを持ってカウンターから出た瞬間、
「――てめぇ、今なんて言った!」
 と、カウンター席にいた中年の男が立ち上がって、隣にいた若い男の胸倉を掴んだ。
「だから、あんたの考え方は『古い』って言ったんだよ!」
「なんだと? 若造の癖に、生意気な口叩きがって!」
 と、中年の男が若い男を突き飛ばす。
 その勢いで頭に血が上ったのか、若い男が殴り掛かり、中年の男は他のお客さんのテーブルに盛大に倒れる。
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