こころ
アンリアル
デジタル化された情報は要らない。
そんなの信じたってさ、馬鹿みたいだろ。

目の前の「真実」を信じないで、
画面越しの「虚像」を信じるの?

全てが偽りな訳では無い。
そう、だって苦しそうに泣いたアナタは僕の知る人だったから。


待たなくて良いと嘯く唇を手で塞ぎ、
その瞳を見詰めれば溢れ出す本音。

「後悔はしていない」
知っているよ。

「充実しているんだ」
知っているよ。

「ただ、」
聞かせてよ、僕だけに。

「時々、とても、ーーー」
知ってたよ、ねえ。


顔を片手で覆うアナタを僕はそっと抱き寄せた。
声を押し殺して泣く様は、精一杯の強がりか。
それとも弱音を吐く事すら己に禁じていたのだろうか。


世間がタグ付けしたアナタ。
僕の識る、キミ。
ふとした瞬間に見せる共通点。


僕はわざと無知なフリしてさ、
甘い嘘を啜るんだ。
キミが望むならそれでイイさ。
道化はドチラかだなんて、今更そんな話は良いだろう?
そんな話題は手のひらで丸めて燃やして。
排出された燃え滓は言葉通り水に流してしまえよ。



僕に見せるキミが全て偽りとは思わない。
そこまで僕は馬鹿では無いよ。
待って無くて良いと謳う言葉の真意を探れるぐらいにはね。


甘い甘い毒に侵された僕はもう中毒者。
偶には苦いスパイスも舐めさせて。
君の真実を織り交ぜて。
それまで僕は、目を伏せて置くから。

ねえ、僕はキミの居場所に成れただろうか?
いつか僕達の道化が終わりを告げ、その応えが聞ける日が来ると良い。
どんな結末だろうと文句は無いさ。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

魅力的なアナタが好きです。

総文字数/5,048

恋愛(純愛)5ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop