ふたり





「奈雫。奈雫には後悔してほしくない。
初恋は上手くいかないって思って欲しくない。

奈雫には、幸せになって欲しいよ…?」





終業式の時、

唯尋が真剣な顔をして私に言った。




きっと、唯尋は後悔しているんだと思う。



だから、その後悔を私には…


私にだけは、してほしくないんだと思う。






―後悔か…。

唯尋はきっと凄く後悔したんだろうな…、


唯尋は強がりだから、



誰にも言わずに一人で。

泣いて、

悔しんで、

自分を責めて、



沢山の後悔をしたんだろう。



きっと…


苦しんだ。


きっと…


悲しんだ。


きっと…、


―――――。



私には、想像出来ないくらいの、

悲しみとか、


苦しみとか、


経験したんだ。

乗り越えたんだ。



それでも、

切ないんだ。





恋は怖いね…?



恋は臆病になるよ…。




.
< 16 / 27 >

この作品をシェア

pagetop